事例紹介「人口増加都市」第一回
『政策・計画策定時の現場で「人口増加都市」を活用』
政策支援合同会社 細川甚孝(しげのり)さん

細川さんのご紹介

秋田県ご出身で高校卒業に合わせ秋田を離れ山梨の大学へご入学。
山梨の大学を卒業後、上智大学の博士号取得のために上京。そこで主に日本の農業制度について研究。在学中に農林水産省系のシンクタンク(現在は存在しない)の研究員として従事、そこで「地域づくり」「村づくり」の世界に初めて触れ、「知識と体験により農業を3Kの仕事から魅力ある仕事にする」研究などに携わる。
その後札幌のコンサルティング会社を経由し松江の土木関連会社の地域開発セクションにて本格的な「街づくり」活動である「中心市街地活性化」、「子育て支援施策」などに携わる。
その後、産業能率大学での講師、ネットリサーチ会社などを経て、途中仕事をしながら早稲田大学にて公共経営などを学んだのち政策支援合同会社を立ち上げ、現職に至る。

様々なご経験をされている細川さんですが今までのキャリアや最終的に独立された背景などを教えてください。

基本的に一貫してパブリックセクターに関わってきたわけですが、その時々の時代の流れとともにパブリックセクターでのニーズも変化していることを感じ、それに応えていくことを考えた結果がいままでのキャリアにつながっているのだと思います。
また、ある意味その場その場での判断もあったのですが、結果的にいまの仕事の基礎となる体系的な知識の習得につながったのだと思います。

独立した背景ですが、それまでに得た様々な経験と知識を活用し、自分で全てやってみたいという思いとリーダーとしての経験と知識を得たかったという思いがありました。それで今、全て自分でやらなければならなくなり、大変な思いをしていますが。笑

政策支援合同会社という会社を設立されたわけですが、具体的にはどのような活動をされているのでしょうか。

事業の柱は大きく3つあり、それぞれ約3割ずつ収益に貢献しています。

一つは地方自治体向けの計画作成のお手伝い、もう一つは、議員・議会・選挙向けの政策作成支援、最後に地方自治体の職員の皆様向けの研修や講演になります。

これらの事業を通して「地域づくり」や「政策づくり」に携わる方々に適切な知識や経験を得るための機会を提供し、さらには政治・政策セクターにおけるプレイヤーの育成・市場の拡大につながればという思いがあります。

人口増加都市ミエルカ(以降、「人口増加都市」)」を最初にご覧になられたきっかけ、印象などを教えてください。

最初に知ったのは「人口増加都市」がリリースしてすぐのタイミング(2015年8月頃)だったと思います。Facebookで知り合った方が「いいね」をしているのをたまたま見たのが直接的なきっかけでした。

最初は、とにかく「綺麗だな」という印象でした。そして、触っていくうちワンクリックとワンスクロールで全てのデータを見ることができる優れた操作性に驚きました。また、行財政スコア・生活スコアという独自のスコアで行財政状況や生活環境の状況をスコア化している点も大変優れていると感じました。

同じようなツールで総務省が提供しているRESASもあり、比べるものではなく使い分けだと思うのですが「操作性」、「スコア」などの点で「人口増加都市」は大変優れていると思います。
逆にRESASは地域経済循環が見れる点などで優れていると思うのですが、凝りすぎていて逆に難しくしているという印象もあります。

時々RESASの主管部門である総務省が「人口増加都市」を買い取ればいいのにと思ったりもします。笑

具体的に「人口増加都市」をお仕事においてどのようにお使いでしょうか。

まず、「人口増加都市」ですが議員の方向けの政策作成支援のときなどに利用しております。具体的には人口、行財政、生活環境などハイレベルに、そして時系列に見ていただき、現状と今までのトレンドを正しく理解していただいた上で何が課題なのかを定量的に把握してもらうために利用しております。

逆に「人口増加都市ブンセキ(以降、「ブンセキ」)」ですが、実際の活用はこれからですが「探索的な利用」にとても優れていると感じております。具体的には、市町村単位で幅広いデータを瞬時にグラフ化でき、同時にデータ間比較、市町村間比較ができるだけではなく都道府県平均や類似団体平均との比較もできるため、たとえば、総合計画や政策作成時のディスカッションにおいて「ブンセキ」で現状や今までのトレンドを見るだけではなく、データ間の相関や市町村の比較を探索的に行うときなどに非常に有効ではないかと思っております。

実は近日予定しております「18歳からの選挙」というイベントの中で「ブンセキ」を用い、自分で選挙公約を作ってみるというセッションを持つ予定にしております。

言うなれば「人口増加都市」は幅広い分野の代表的な指標から現状を正しく知ることに長け、「ブンセキ」は、より深く探索的に関連する因子や他の自治体と比較し自地域の相対的な位置を知るための手段として秀でていると感じています。

今まさに地方創生・地域活性化に携わられている皆さんがどのようなシーンで「人口増加都市」や「ブンセキ」を活用できると思いますか。

たとえば、地域おこし協力隊の皆さんのご活動を拝見している中でもったいないなと感じるのは、様々な企画をされ、活動をされているわけですが、その企画・活動の評価機能が非常に手薄という点です。
つまり、様々な活動が具体的にどのような成果につながるのか定量的に明示されていないということです。せっかくの活動もその成果を示す指標がないと周りから評価がされづらくとてももったいないと感じており、「人口増加都市」や「ブンセキ」を活用し、活動している地域の現状を正しく知り、課題を明確にした上で、「人口増加都市」や「ブンセキ」で表示されるデータ項目を改善すべき課題の成果指標として参考にするのもいいと思います。また、「ブンセキ」を用いて近隣の自治体と自地域の現状を様々な角度で探索的に比較してみるのもとても勉強になると思いますよ。

このように「現状を正しく知る」「成果の指標の参考にする」「他の自治体と比較する」という点では地域おこし協力隊に限らず自治体の方々を含め地方創生・地域活性化に関わる全ての人にとって有益なツールだと思います。

最後に「人口増加都市」に今後期待することがあれば教えて下さい。

データ量という意味では、市町村単位ではなく観光地単位であるため難しいかもしれませんが観光データが加わるといいですね。また、計画作成の観点から言えば、一度に全ての市町村の対応することは難しいかもしれませんが現在市町村単位・都道府県単位で個別に公表されている地方自治体の最新のデータが入ると計画・施策・事業の成果指標としてそのまま利用ができ、計画策定をより一層効果的に行えるだけではなく、活用の幅がさらに広がると思います。

また、特に「ブンセキ」は利用者の分析能力に依存するところが大きいように感じますので、たとえば、地域おこし協力隊の皆さんが最低限見るべき項目などをまとめた利用者別ガイドラインなどがあればより利用しやすくなると思います。

あとがき

第一回目として今回は政策支援合同会社の細川さんにお話を伺いましたが、とても印象的だったことはプレイヤーの支援・育成などを含めた取り組みをされておりパブリックセクターへ貢献していきたいという「思い」がとても強いということ。
また、その根底には「成長機会を提供する」「ともに成長する」というお考えをお持ちであり、人の成長こそが社会を変える、そして成長のためには機会の提供が最も大事だと考えている私としては、共感するところ多くありました。

また、「人口増加都市」の大ファンと公言いただいており、それだけでも大変光栄なことなのですが、同時に「人口増加都市」の開発において特にこだわらせていただいた“利便性の追求(ワンクリック・ワンスクロールでほぼ全てのデータにたどり着く)”という点や開発者視点ではなく利用者視点で表示項目を絞り込んだ点などをしっかりと見ていただいており、開発者冥利につきる思いでした。

同時に幾つかの課題もいただいており、どれも簡単ではないですが大ファンだと公言いただいている細川さんにお応えできるように知恵を絞っていきたいと思います。

最後にお知らせですが、今回細川さんとお話をさせていただく中で「人口増加都市」を地方創生や地域活性化に携わられている方にもっと活用いただき、より効果的・効率的な活動に繋げていただくことを目的に「人口増加都市」活用勉強会を行うことになりました。
勉強会の中では、「人口増加都市」、「ブンセキ」のご紹介はもちろんですが、参加者の皆さんのお住まいの市町村を「人口増加都市」で見ていくことで、お住まいの市町村の現状・課題を知るとともに、それを政策・計画づくりにどのように繋げていくかを一緒に考えていきます。

勉強会の詳細・ご参加申し込みは下記サイトから可能ですのでご興味がある方はぜひご参加下さい。
「人口増加都市」活用勉強会(仮称) (人口増加都市facebookURL)

よろしくお願いいたします。

【細川甚孝(しげのり)さんの代表的な業績】

2001年「北海道における感性産業の振興方策調査」(経済産業省)
2002~2004年 『西郷町に関する各種観光プロジェクトのプロデュース』(島根県隠岐郡西郷町(現)隠岐の島町)
2005年「斐川町食料自給率調査」(島根県簸川郡斐川町)
2006年「地域若者支援調査事業」(経済産業省)
2007年「西東京市総合計画(後期基本計画)」(東京都西東京市)
2008年「西東京市事務事業評価構築事業」(東京都西東京市)
2009年「中野区商店街振興へ向けた実態調査」(東京都中野区)
2010年「西東京市施策評価構築事業」(東京都西東京市)
2008年~毎年、各地の大学、自治体、企業等で公共経営に関する各種講演の実施
2009年~議員の公約作成支援、議会質問に関する質問支援、選挙等のコンサルティング
K市M党、S県S会派、F市M党、M党区M会派などでご支援実施

*「18歳からの選挙」に関する詳細はこちらからご覧いただけます。

人口増加都市の詳細情報はこちらからご覧いただけます。